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オリジナル小説を掲載しています。
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いつも作品を読んでくださってありがとうございます。
今回発売されました「皇帝つき女官は花嫁として望まれ中」2巻の購入御礼SSを掲載します!
読んでご興味が引かれましたら、ぜひお手に取っていただければありがたいです。

二人がこんなことになってる事情についても、二巻をお読みいただけると、あ、ここのシーンの夜中の出来事かとわかっていただけるかと思います!

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 目の前に流れる髪の一筋をすくい上げる。
 さらりとした感触の髪が、指の上を滑ってつるりと落ちた。そうして眠っている彼女の白い頬に、少しだけかかってしまう。
 そんなささやかな衝撃では、リーゼはまったく目を覚まさない。

 相当疲れがたまっているのだろう。
 帝国へ来るまでの長い旅路は、女性としてはかなり体力がある彼女でもきつかったはず。帝国人の体力に合わせた行程だったので。
 だからこそ、こうしてシディスが横にいるのに、目を覚まさずに熟睡していてくれるんだろう。

「リーゼ」

 小さく名前を呼ぶと、むむっとその唇が引き結ばれる。ややあってそれがゆるんで、ふうと小さく息をついて元に戻った。……面白い。

 疲れていなければ、人の気配で起きただろう彼女は、声を聞いて目を覚ましそうになったのだと思う。けれど眠気が強いのと、おそらくはシディスの声だったことで、眠り続ける判断をしたのではないだろうか。

「かわいい……」

 そう思いながら、シディスは一人笑み崩れる。
 幼い頃は、ただ側にいたかった。優しくて強いカトラのことが大好きだった。その腕で抱きしめてくれるのは自分だけでいてほしいと願ううちに、鈍感でたまに失敗もする彼女のことを知って、自分が助けてあげられるようになりたいと願った。
 だからあの時、「結婚したい」と彼女に言ったのは、ただ側にいられればと思ったからだ。

 でも今は違う。
 カトラと同じだけど、カトラより可愛いリーゼ。

「絶対に他の男には渡さない」

 再びつぶやき、彼女の頬にそっと口づける。
 またむにむにと口元をゆがめるリーゼの顔を見て微笑みながら、シディスは彼女の隣で眠りについた。

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